もともと生産者の現状を知らなかった筆者が、実際に農業の現場に入ったことで知ったオーガニック農産物の難しさや、農薬や化学肥料について気を付けたいポイントを具体的に紹介します。

 

有機農業や自然農法とは?

日本でオーガニック有機は同じことを意味しています。

英語ではオーガニックと呼ばれますが、フランスなどではビオなど呼び方が各国違い、世界でオーガニック認証団体は数多く存在します。

日本で有機農産物やその加工品などは農林水産省の定める農薬や化学肥料のルールに従って作られたもののみに「有機JAS」認証が付けられています。

また、有機JAS認証は無くても、無農薬や無化学肥料の農業を実践している自然農法も人気があります。

ただ、自然農法の野菜や果物は、有機JASのような第三者によるチェックはないので信頼できる生産者を見極める必要がありますね。

最近では有機JAS認証に加えて世界的に通用するGAP (Good Agricultural Practice)という認証を付けようとする動きが活発になり、2020年の東京オリンピックに向けて選手村へオーガニック食材を提供しようという「フードビジョン」をテーマに日本のGAP認証JGAPが付いた食材が求められています。

現状では日本の有機食材だけではまかなえず、ロンドンオリンピック、そしてリオオリンピックでも達成できたことが先進国日本ではオーガニックの広がりが弱いところを世界に見せてしまいます。

地方でも費用がかからずGAP認証が取れるように国が動いていますので、ぜひ生産者さんたちはこの機会に挑戦し、消費者もオーガニック商品を積極的に選ぶようになってほしいです。

 

商品を選ぶポイント

有機野菜だけでなく、減農薬野菜という言葉を聞くと一見農薬が少なくて安全なイメージを持つかもしれません。

しかし、「慣行農法」と呼ばれる一般的な栽培方法で使用される農薬の回数より少なければ全て減農薬と謳えてしまうのです。

実際に私が関わっている桃について例を挙げて紹介しますと、地域によって回数は前後しますが、1シーズンで約24回農薬を散布し、虫や病気の被害にあえば商品が販売できなくなってしまうので、それ以上散布している人もいます。

そして農薬の使用を1回減らしても20回減らしても同じ減農薬と呼ばれてしまいます。

そんな減農薬で知っておきたいポイントは、その減らした使用割合をチェックするということです。

慣行の農薬散布量の半分に減らせば5割減です。

オーガニック系スーパーではきちんと消費者が分かるように「〇割減農」と表記している所も増えてきていますので参考にしてみてください。

栽培途中に使われる農薬や化学肥料だけでなく、「ポストハーベスト」と呼ばれる収穫後の薬品も気を付けてほしいです。

例えばレモンやグレープフルーツといった果物は、特に輸入物は長期品質を保つために表面に防カビ剤を用いることが多いのですが、皮ごと用いれば防カビ剤を口にすることになってしまいますよね。

これに関して作り手として悔しい思いをするときもあります。

ポストハーベストを使わない農産物を丹精込めて作っても、輸送の環境などによってはやはりお客様に届く時にカビが発生してしまいクレームになってしまうことがあります。

もちろん生産者は品質管理をしっかりしなくてはいけません。

しかし、添加物で何か月も腐らない菓子パンや加工品よりも、消費者は例えばカビを見つけた時に、それはある意味安全な農作物だという視点も忘れないようにするべきですね。

 

有機JAS 認証商品

・オーガニック ドライフルーツミックス

オーガニック栽培されたレーズンやクランベリーはもちろん、一部使われる砂糖や油なども有機認証付の原料を使っています

 

・九州野菜 鹿児島県 有機野菜おまかせセット7品目

有機JAS認証の野菜の中でも、西日本や九州地方が産地の野菜は人気がありますね。

 

<参考文献>

・農林水産省 有機食品の検査認証制度

http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html

・日本GAP協会

http://jgap.jp/

・公益財団法人自然農法国際研究開発センター

http://www.infrc.or.jp/